筋肉痛を早く治す方法について

筋肉痛を早く治す方法について

筋力トレーニングやスポーツはもちろん、荷物運びなどの力仕事を行った後などに酷使した筋肉が痛くなる症状は筋肉痛と呼ばれています。

日頃から筋力トレーニングに励んでいる人にとってはそうした筋肉痛が避けられず、痛みを乗り越えてこそ筋肉増強が実現できるものです。

スポーツ選手など運動に慣れている人よりも、運動不足の人が急に体を動かした場合の方が筋肉痛も起きやすくなります。

スポーツや仕事などで筋肉を使う以上はそうした筋肉痛の発生も避けられないとは言え、痛みは日常生活にも支障を及ぼしかねません。

筋肉痛から早く回復できる方法を知っておけば、筋力トレーニングやスポーツを行うにも安心です。

痛みの起きる仕組みを理解することで、筋肉痛を早く治す方法や予防のための対策も見えてきます。

筋肉痛が起きるメカニズム

筋肉痛が起きるメカニズムそもそも筋肉痛がなぜ起きるのかというメカニズムは、現代の科学でも完全に解明されているわけではありません。

かつては筋肉の疲労を引き起こす物質とされていた乳酸が、筋肉痛の原因でもあると考えられていました。

使い過ぎた筋肉が疲労してくると筋肉内の乳酸濃度が高くなる現象が見られ、それにつれて運動能力が低下するという事実は否定できません。

そのために乳酸が疲労物質と見なされ、乳酸が溜まると筋肉が酸性に傾いて痛みの原因になると言われていたのです。

現在では乳酸が疲労物質だという考えは否定され、むしろ乳酸は無酸素運動における貴重なエネルギー源だと判明しています。

そうした認識の変化があって、筋肉痛の原因が乳酸だという説も疑問とされているのです。

運動による筋繊維の損傷が痛みの原因

乳酸が筋肉痛の原因だとする説よりも、激しい運動による筋繊維の損傷を筋肉痛の原因とする説が現在では有力です。

筋肉は多数の細長い筋繊維の束が筋膜に包まれている構造をしており、この筋繊維が伸び縮することで力を発揮します。

筋繊維は縮むときよりも伸びるときの方が加わる負荷も大きく、繊維構造が損傷しやすくなるものです。

筋繊維が破壊されるときの痛みが筋肉痛なのだと思いがちですが、筋肉痛の起きるメカニズムはそう単純ではありません。

痛みを感じる神経の末端が接続しているのは筋膜までで、筋繊維そのものはたとえ破壊されても痛みを感じることがないのです。

炎症を起こした筋肉から痛み物質が放出

筋肉痛は激しい運動を行った後で一定時間が経過してから起きるのが一般的で、運動の当日よりも翌日や数日後に強い痛みが出る例も珍しくありません。

こうした典型的な筋肉痛は、損傷した筋繊維が修復される過程で放出される痛み物質に由来します。

筋繊維が損傷を受けると修復しようとして炎症が生じ、炎症個所が発熱するとともに痛み物質が放出されて神経とつながっている筋膜に作用するのです。

炎症によって放出される発痛物質には、ブラジキニンやセロトニン、ヒスタミンなどの種類があります。

筋肉痛を早く治すにはできるだけ炎症を抑えてこれらの発痛物質の放出を少なくしながら、筋繊維の修復を促すような工夫が必要です。

筋肉痛急性期の対処方法

筋肉痛急性期の対処方法筋肉の強い痛みや発熱を特徴とする急性期から始まり、鈍い痛みへと変わってくる回復期に移行するのが筋肉痛の一般的な経過です。

筋肉痛を早く治すための対処法も急性期と回復期では違ってきますので、両者を混同しないように注意しなければなりません。

筋肉痛の急性期には患部に激痛を伴うケースも珍しくはなく、痛んでいる筋肉を動かすのもつらいものです。

こうした急性期には筋肉を無理に動かさず、できるだけ安静を保つことが大切になってきます。

そうは言ってもただ安静にしているだけでは痛みがなかなか引かないことから、痛む個所をマッサージをすれば早く治るように思いがちです。

痛みがピークを迎えている急性期に無闇な筋肉のマッサージを行うと、痛みを悪化させる可能性があります。

筋肉の炎症を抑えるには冷やすのが効果的

筋肉痛の急性期に強い痛みが生じるのは、損傷を受けた筋肉に炎症が発生しているのが原因です。

炎症そのものは生体防衛上の正常な反応とは言え、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みはつらいものです。

炎症が起きると炎症物質や神経伝達物質による作用で血管から筋肉組織へと水分が移行し、浮腫と呼ばれるむくみが生じやすくなります。

炎症を起こして浮腫を生じている筋肉をそのままにしていると炎症が長時間持続され、それだけ回復が遅れてしまいます。

炎症を抑えて回復を早めるには氷のうや保冷剤などを使用し、筋肉痛を起こしている個所を20分から30分ほど冷やしながらゆっくりとマッサージを行うのが効果的です。

筋繊維を早く修復させるには睡眠も重要

筋繊維の修復が早く進めば炎症が収まるのもそれだけ早くなり、筋肉痛を解消させるまでの時間も短縮されます。

損傷した筋繊維を修復するには材料となるたんぱく質も必要ですが、化学反応を促す触媒物質も不可欠です。

傷ついた細胞の修復に必要な物質の中でも、脳下垂体から分泌される成長ホルモンは最も重要な働きをしています。

成長ホルモンは食物を分解して得たアミノ酸を筋肉が取り込んでたんぱく質の合成を促す作用を持ち、深い睡眠中に分泌されます。

筋肉痛を早く治すには安静を保って患部を冷やすだけでなく、成長ホルモンの分泌を促すために十分な睡眠を取ることも重要なのです。

回復期に心がけるべき養生

回復期に心がけるべき養生筋肉を動かすのもつらいほどの筋肉痛急性期の期間は、適切な処置さえ施せば通常は1日程度です。

翌日以降は強い痛みが和らぎ、痛んでいた個所も何とか動かせるようになります。

この段階になると回復期に移行したという証拠で、筋肉痛を早く治すための対処法も急性期とは違ってきます。

筋力トレーニングに毎日励んでいる人やスポーツ選手などは、こうした回復期に移るとすぐに運動を再開したくなるものです。

前日は強い痛みに悩まされていた筋肉が動かせるようになることで、ついつい調子に乗ってしまいます。

回復期でも痛みが完全になくなったわけではないため、すぐに運動を再開したばかりに回復が遅れる可能性があるという点には注意が必要です。

筋肉痛の回復期には以下に挙げるような養生を心がけることで、回復がよりいっそう早くなります。

回復期には筋肉を温め血流を促す

筋肉痛からの回復期が急性期と大きく異なるのは、回復を早めるために筋肉を冷やすのではなく逆に温める必要があるという点です。

急性期に筋肉を冷やしたのはあくまでも炎症を抑える目的であって、炎症が引いた回復期には筋肉の修復を早めるように工夫しなければなりません。

筋肉を冷やすとその部分の血行が悪くなため、細胞の修復に必要な酸素や栄養素が十分に運ばれなくなります。

修復に欠かせないたんぱく質などの栄養素をしっかりと供給するためにも、ここで筋肉を温めて血流を促進してやることが欠かせません。

痛んだ筋肉をマッサージしたりストレッチをしたりするのも効果的ですが、20分程度の温浴は筋肉を温めるのに理想的な対処法です。

筋肉痛の回復に効果のある栄養素

損傷した筋肉を修復するには血行促進や十分な睡眠に加え、筋繊維の材料となるたんぱく質を食事で十分に摂取することも必要です。

豚肉や鶏肉などの肉にはたんぱく質の合成に欠かせない必須アミノ酸が豊富に含まれています。

食物から摂取する必要がある必須アミノ酸のうち、BCAAと呼ばれるバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類は筋肉の修復に最も重要な成分です。

筋力トレーニングを行う際にはBCAAを含むプロテインを運動直前に飲むことで筋肉分解が抑制され、筋肉痛の予防につながります。

他にもたんぱく質の合成を促す栄養素として、ビタミンB1やB6等のビタミンB群と亜鉛などミネラルの摂取も欠かせません。

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